「防災とジェンダー」というテーマで講演をいただきました
高1の国際教養コースでは、4月から6月にかけて、共通テーマとして「ジェンダー」を研究してきました。去る6月23日(金)には、静岡大学グローバル共創科学部学部長の池田恵子先生をお招きして、「防災とジェンダー」というテーマで講演をいただきました。
池田先生ご自身が青年海外協力隊の調査員として訪れたバングラデシュでのサイクロン被害調査において、男女の死亡率に大きな差があったことをきっかけに、先生は地域防災に取り組んでこられました。バングラデシュでの女性の高い死亡率の背景には、意思決定や発言権、性別役割、教育、人権といった様々な問題が関わっており、また被災時には女性の意見が反映されづらい状況でしたが、その後、女性が地域の防災委員会に参加し、発言の機会を得ていったということを、資料やデータを用いながら説明して下さいました。
はじめは防災とジェンダーがどう関連しているのかイメージできなかった生徒たちも、池田先生のお話を通して、もともと不平等があるところに災害が起こることによりジェンダー格差が拡大し、弱い立場の人に対してさらに多くの被害がもたらされるということを実感できたようです。
また災害時だけではなく、通常の社会にある男女の格差や差別を小さくしていくこと、そして災害時に弱者を生まない環境づくりを目指していくことが大切であると学ぶことができました。
【生徒の感想より】
・最近ジェンダーについて日本で多く取り上げられるようになりましたが、その他の国のジェンダーの取り組みについてあまり知らなかったので、お話を聞くことができ良い機会となりました。サイクロンでの死亡率のグラフを見た時、女性の死亡率が圧倒的に多くて、とても驚きました。女性のジェンダー問題は女性自身がまず行動していかないと変わらないと思います。
・今回の講義を伺う前は防災とジェンダ―がどのように関わっているのか想像できませんでしたが、お話を伺い、データや資料ももちろん大切ではあるけれど、実際に自分の目で見て課題を見つけることの重要性を学びました。また特に印象的だったのは「女性が、女性のためのボランティアに行くこと」や「女性も委員会に参加すること」など、当たり前のようでそうでないことを一つ一つ着実にクリアにしていったことで災害に強くなったということです。また、女性たち一人ひとりの行動によって、国家予算の中で教育や人口問題などの分野への配分が多くなったということも興味深かったです。