雙葉日記

2025.12.16

待降節の祈り

有志の生徒によるクリスマスメッセージを皆で分かち合い、お祈りしています

 12月に入り、「待降節」を迎えました。イエス=キリストの降誕をお祝いするクリスマスの4週前の日曜日からクリスマスの準備期間に入るとされており、この期間は「待降節」と呼ばれています。本校でも朝の時間に、聖堂にて「待降節の祈り」を行っています。

 5月に行われた「聖母月の祈り」に引き続き、お祈りの会の最初には、有志の生徒が、クリスマスについての自身の経験や想いを語っています。生徒たちの素直な祈りの言葉を皆で分かち合いながら、クリスマスを穏やかな気持ちで迎える準備のひとときとなっています。

◆生徒によるクリスマスメッセージ◆

皆さんにとって、クリスマスとはどんな時間ですか。

クリスマスメッセージを担当するにあたり、私も今まで過ごしたクリスマスを振り返ってみました。家族でサンタクロースの帽子をかぶってクリスマスパーティーを楽しんだこと。クリスマスイブの夜、ツリーの下にサンタさんへのお菓子を置いてわくわくしながら寝たこと。冬休みの宿題の絵日記にクリスマスのことを書くほど、幼少期からクリスマスは私にとって特別なイベントでしたが、雙葉に入学してからクリスマスがより特別なものとなったと感じています。クリスマス訪問で出会った施設の方と折り紙でクリスマスのオーナメントを作ったり、クリスマスマーケットに来場された方とお話を楽しんだり…。もちろん、クリスマスミサのキャンドルサービスやクリスマス会など、雙葉に集う全員で過ごす時間もお気に入りです。

家族だけでなく、さまざまな人とクリスマスをお祝いする機会が増えたように思います。私にとってクリスマスは「誰かと温かい気持ちを共有する時間」です。中学1年生にとっては雙葉で迎える初めてのクリスマスですね。雙葉で新たな「クリスマス」の過ごし方に出会うことができるかもしれません。今年もこの待降節のお祈りやクリスマス訪問などで、同じ時間を過ごす人々と温かい気持ちを共有することができますように。(高2生徒)

皆さんは、「クリスマスソング」といえばどんな曲を思い浮かべますか。

私には、この冬特に印象に残った一曲があります。坂本龍一さん作曲の、「Merry Christmas Mr. Lawrence」です。この曲は、1983年公開の映画『戦場のメリークリスマス』のテーマ曲です。
映画の舞台は、第二次世界大戦中のジャワ島、日本軍の捕虜収容所。イギリス軍人のロレンスを中心に、捕虜となった外国人兵と、日本兵の視点を織り交ぜながら、戦争の中に生きる人々を描いた物語です。捕虜となった人々の受けた理不尽や苦悩と、極限の環境下で生まれる人情は私の胸に強烈に残りました。
戦後80年目の今年は、戦争について考える機会が多くありました。
10月には、中3の沖縄体験学習で、ひめゆりの塔やガマを訪れ、当時の様子を肌で学びました。
加えて、私はもう一つ、捕虜収容所を舞台に、シベリア抑留にあった日本兵たちを描いた映画『ラーゲリより愛を込めて』も視聴しました。状況が対照的な2つの映画を観て学んだのは、戦争に、完全な「被害者」も「加害者」もいない、ということです。
『戦場のメリークリスマス』の作中に、日本兵と捕虜たちが口論をする場面があります。「正しいのはどちらか」と詰め寄られた主人公は、「ここにいるみんなが間違っている」と答えます。
自分の命を脅かす敵は、誰かにとって、命の恩人かもしれない。
自分と共に戦った戦友は、誰かにとって、仲間を殺された仇かもしれない。
ただ自分の正義に従って、必死に生きようとするだけで、「加害者」になってしまう。また、「被害者」にされてしまう。

私は、これこそが戦争の恐ろしさであると思います。
人が人を殺すということが、いかに重く、異常なことであるか。
言葉にするとありきたりな表現になってしまいますが、「戦争は絶対にいけない」と心の底から強く思いました。
今も、世界では多くの地域で戦争が続き、たくさんの命が失われています。
どうか、世界中の人々が、せめて待降節という短い時間だけでも心穏やかに過ごすことのできる日が訪れますように。(中3生徒)

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