雙葉日記

2024.12.24

クリスマスの夜に

「待降節の祈り」から

12月2日から20日まで、本校では聖堂で「待降節の祈り」を行っていました。

その中で行われた「生徒たちによるクリスマスメッセージ」の中から一つ、ご紹介したいと思います。

クリスマスの日、祖父に起きた「小さな奇跡」の話をしたいと思います。

私には今は亡き祖父がいます。祖父は絵を描くことが好きで、私が幼いころからよく「絵を描くぞ」と何度も誘ってくれたものでした。

そんな祖父は、3年前の秋にガンを患い、以来闘病生活を送っていました。日に日に頬がこけ痩せていく姿は、何度も「本当に私の祖父なのか」と疑ってしまうほどでした。そして、今からちょうど一年前の夏頃には絵を描くどころか筆をもつこともできなくなってしまいました。その頃、お医者さんから「きっと年は越せないだろう、クリスマスも迎えられないかもしれない。」

そう告げられました。

私は今思えば、その時は信じたくない気持ちが強く、知らないふりをすることで現実から逃げていたように思います。やっとそのことに向き合えたのも11月頃でした。その頃にはもう私の顔を見て笑ってもくれないし、名前も思い出せないような状況でした。

「私のことは思い出せなくてもいい、ただ、最後に笑ってほしい」そう思った私は、雙葉で毎年募集しているクリスマスカードのデザインに応募しました。選んでもらえたら、それを祖父に報告したいと思ったからです。

嬉しいことに選んでいただけたので、そのカードを持って昨年の12月24日、祖父に会いに行きました。

祖父は私の名前は思い出せなかったけれど、確かに私のことを認識して笑って、弱々しい手で私の手を握ってくれました。そして、祖父はなんとクリスマスどころか、年も越し、冬も越して、祖父は今年の3月まで生き延びることができました。

祖父に生きる力と希望を与えることで、私はおそらく祖父のサンタになることができたのではないか、と思っています。

みなさんも、誰かに愛や力を与えられる、そんなクリスマスを過ごせたらいいですね。

今年のクリスマスにも、また一枚、天国の祖父にクリスマスカードを贈りたいと思っています。

画家だった祖父の水彩画「サンタマリア教会」(ポルトガル・オビドス 2013・10・24)に7人のサンタを描き足して完成させた「二人の共同作品」。天国にいらっしゃるおじいさまのもとに届けるクリスマスカードだそうです。
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