ジェンダー平等を実現する社会へ
高校1年生の国際教養コースでは、生徒たちが興味関心のある社会課題について、3~4名のグループに分かれてテーマ研究を行っています。4~6月は「ジェンダー」を共通テーマに掲げ、それぞれのグループが異なる切り口から英語でプレゼンテーション発表を行います。
その取り組みの一環として、5月12日(金)に静岡市女性会館を訪問し、本校卒業生で前館長を務められた、NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか事務局長、谷口年江さんに、ジェンダーにおける偏見や格差についてご講演いただきました。講演のなかで、日本のジェンダーギャップ指数が146か国中116位であること、識字率と就学率の高さから教育の分野ではジェンダーギャップが全く見られないこと、一方、経済分野では146か国中121位、政治分野では139位ときわめて低いことなど、日本社会が抱えるジェンダー課題について具体的データを示しながらお話し下さり、生徒たちは外国と日本における意識や実行力の差に大きな衝撃を受けている様子でした。また、女性が活躍することで社会がどのように変化していくのか、その可能性についても教えていただきました。その他、併設図書コーナーの見学や施設の紹介を通して、男女参画社会の実現における女性会館の役割について学ぶことができました。講演の最後に、講師の谷口さんは母校で学ぶ生徒たちに向けて、「学校生活を思い切り楽しんでください」とエールを送って下さり、社会で活躍する先輩の姿から行動することの大切さを肌で感じることができました。
【生徒の感想から】
・ 私の心の中にもどこかで、「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」と区別してしまっていることに気付き、何十年も良しとされてきた男女の在り方を変えるのは本当に難しいと思いました。男女差別をなくそうと思いながらも、知らないうちに男性と女性を区別して考えているのが講演中のグラフの数値に現れていて、2030年までにジェンダー平等を実現することができるのか不安になりました。でも、谷口さんのように、今こそ女性のために社会を変えようと動いていらっしゃる方がたくさんいるのだなと、嬉しくなりました。
・ ジェンダーギャップ指数において日本の順位が低いことは以前から知っていましたが、実際にどのような分野で他国に遅れを取っているのかを具体的に知ることができました。自分はジェンダーに対して意識的だと思っても、男性、女性に対する偏見やイメージを日常のなかで自然に持ってしまっていることに、今日改めて気付きました。また、日本では多くの人がそのような偏見を持っているからこそ、男性、女性を完全に区別してしまう傾向が高いのかなと思いました。また、マジョリティ(多数派)の人がマイノリティ(少数派)の人を気付かないうちに追い詰め、生きづらくさせてしまっていることは、今まであまり自覚がありませんでしたが、マイノリティの人が抵抗なく意見を言うことができる社会を私たちが作る必要があると感じました。
・ お話を聴いて、女性会館のスタッフの思いや、そこで救われている多くの女性のことを考え、温かい気持ちになりました。日本での男女やジェンダー平等についてのお話では、世界における日本の順位の低さや現状に危機感を感じるとともに、私たち若者・女性が声を上げていく必要があると思いました。「普通を疑いなさい」という谷口さんの言葉に、はっとしました。自分にとっての「普通」が相手にとっても普通かどうか分からないので、「普通」を疑って発言し、行動することが必要だと思いました。
・ 「違いを気にしないでいられるのはマジョリティの特権」という言葉が印象に残っています。「性」についても、無意識の差別によって生きづらく、社会に出られなくなってしまっている人がいる現状を変えていくべきだと思いました。そのためにも、さらに自分たちでジェンダーについての知識を深め、性の多様性を誰にでも当てはまる違いとして認め、皆が同じ場所に立てる社会を作っていきたいです。