国税庁が主催する「令和6年度・税に関する高校生の作文」において、高校1年生の渡邊未桜子さんの作文が静岡税務署長賞を受賞しました。11月29日、静岡税務署長が来校され、表彰をしてくださいました。この作文は、次代を担う高校生が、税を題材とした作文を書くことを通じて税に対する関心をより深めていってほしいという思いのもとで昭和37年度から継続実施しているものです。今回は全国1544校、178,159編の作文が寄せられたとのことです。
「必ず生きて会いましょうね」ー生きた税金の使い道ー
高校一年生の夏、私は、生きた税金の使い道を心と頭で学ぶことができました。それは、8月の下旬に静岡県内の高校生20人で行く、東北の震災復興についてを学ぶスタディーツアーに参加をしたことがきっかけでした。
今まで私は、税金というものについて、あまり深く考えたことがありませんでした。私が日常で関わる税と言えば、物を購入するときに払う消費税くらいのもので、自分が払ったこの消費税はどんな風に使われているのだろうか、と想いを巡らせるようなことは無く、ここまで過ごしてきました。家族で食事をする際に、両親が税についての話をしていても、私は少し口を挟む程度で、積極的に理解しようとしてこなかったように思います。
この夏休みに、私が東北スタディーツアーに応募しようと決めたのは、私の住む静岡県も地震が心配されている地域であり、災害と復興についてを学ぶ良い機会なのかもしれないと思ったからです。そこで私は、意図した目的だけでなく、税金のあり方について、考えること、気づくこと、心を寄せることのきっかけに出会うことになったのです。
私たちが訪れた岩手県沿岸部は、震災による津波によって、壊滅的な状況に陥ってしまった地域です。たくさんの人の生命が失われ、家も街も壊れ、全てが一変してしまった困難な状況の中でも、被災地の人々は立ち上がり、復興に向けての歩みを始めました。何もかもが無くなってしまった地域に、今は学校や公共の施設が再建されていました。そこには確かに、生きた税金の使い道が存在していて、私はそれを目の当たりにしたのです。同時に、津波によって園児を亡くしてしまった「おおつちこども園」の園長先生が私たちに話してくださった、震災後の教訓としての言葉「必ず生きて会いましょうね」、これが私の心に深く留まりました。
「必ず生きて会いましょうね」この言葉は、未来への約束です。たとえ災害が起こってしまったとしても、生きること、生きて未来を創ること、これが人間に与えられた使命ならば、私たちは進んでいかなくてはならないのだと思います。全てが無くなってしまった場所であっても、人が生きているならば、人生と生活を建て直す必要があるのです。税金を通じて、生きようとする人たちを支えることが、生きた税金のあり方ではないでしょうか。税とは、未来への約束を果たす鍵なのだと、今、私は確信しています。 高1東 渡邊未桜子