没頭する、作品を生む、愛着を持つ。
みなさん、こんにちは。
雙葉日記をご覧いただき、いつもありがとうございます。
駿府城公園も日ごと新緑に染められていく頃となりました。裁判所の植え込みにあるナンジャモンジャの木(ひとつばたご)が美しい白い花を咲かせるのはほんの一時期であり、この白く儚げな花の開花を見ると、不意に春への名残惜しさがつのってまいります。
さて、本日の校内探訪は被服室です。校舎の最上階となる7階にその教室があります。
中学一年生では、ミシンの基本的な使い方を学びながら最初の作品「聖歌集カバー」を制作します。(写真1)四か所をまっすぐ、10センチほど縫うという作業です。カバーを付けた「私だけの」聖歌集は6年間、学校生活の中で使用していくことになります。次のステップとして制作するのが、エプロンと三角巾。(写真2)中二以降の調理実習の際に使用できるよう、お気に入りの布を選んで作ります。
そして中学二年生になると、「縫うこと」から、「編むこと」へと学びを拡げていきます。(写真3)一目一目を編む作業をしていると、時の経つのを忘れ、休み時間も引き続き没頭してしまう生徒も少なくありません。現在、中学二年生はオンライン授業で編み物について学習中です。
そして、いよいよ中学三年生になると「刺し子」を学びます。刺し子用の太い専用針と糸を使用して、なみ縫いの運針に没頭します。各自自由にデザインをし、使う糸の色を決め、一針一針、リズムをつけて縫っていきます。現在、中学三年生はオンライン授業でデザインを始めたところです。縫う際のそれぞれの呼吸や集中力が、作品にそのまま投影され形を成していきます。(写真4)
運針という寡黙な作業。針目の大きさをコントロールしながら、リズミカルに手もとを動かしていく練習は、無心になることの面白さと、自分だけの作品を生むことの喜びを教えてくれます。自分が生み出した作品を自分で使うことによって愛着が生まれ、モノを大切にすることを学んでいきます。
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(写真1)聖歌集カバー。雙葉に入って最初の「作品」 となります。
(写真2)調理実習で使う時のために、制作します。一人ひとりの好みは40種類から選べる布地に反映されています。「〇〇ちゃんらしいね」などと言いながら。
(写真3)中二は「縫う」から「編む」へ発展。一目 一目に思いを込めていく作業は同じ。
(写真4)無心になみ縫いを繰り返していくことで生まれる、一つだけの作品。それぞれの味が出ます。