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2017.10.04

「世界にはばたく女性」講演会 (校内版)

「輝いて生きる」ために必要なことを教えていただきました

 2日(月)11:00より、講堂にて、チベット出身の声楽家であるバイマー・ヤンジンさんをお迎えし、今年度第2回「世界にはばたく女性」講演会が行われました。今回は全校生徒と在校生の保護者対象の校内版です。
 講師のヤンジンさんは、中国国立四川音楽大学声楽学部を卒業後、同校専任講師に就任し、中国各地でコンサートに出演しました。1994年に来日、日本でただ一人のチベット人歌手として、チベットの音楽、文化、習慣などを紹介するために、全国的にコンサート活動を行っています。この活動が多くの人々の感動と共感を呼び、教育関係、企業、学校などからも高い評価を得て、テレビ、ラジオでたびたび紹介されています。1997年からチベットの子供たちの教育のために始めた学校建設活動も大きな成果をあげ、現在9つの小学校と1つの中学校が開校しました。

 演題は「輝いて生きる―夢は実現するためにある―」です。
 しかし、ヤンジンさんが今日に至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。ヤンジンさんの幼少の頃の記憶は、「貧しく、空腹の記憶しかなかった」といいます。チベットは標高4200mの山地にあり、冬はマイナス20度にもなる厳しい気候で、テレビやラジオもなく、外国の情報も全くなかったそうです。11人のきょうだいのうち3人は亡くなり、皆学校に行けず字が読めず、それよりもまず生きるために働くという選択肢しかありませんでした。「字が読めない」ことで、日常生活において、皆が不自由な思いをしてきました。
 そんな中で、ヤンジンさんは家族の支援を受けながら高校に通うことができ、自分で時間が使える喜びを初めて味わったそうです。「大学に行き、よい就職先を手にし、家族の支えに報いたい」という一心で、想像を絶するような厳しい環境のもと必死で勉強して、念願の合格通知を手にしました。ところが、希望を抱いて始めた大学生活は、とてもつらいもので、ひどい民族差別やいじめに遭いました。それでも家族のことを思い、「卒業して堂々と郷里に帰りたい」という強い意志を持ち、屈せずにいじめに立ち向かい、「学ぶ」ことを放棄することはありませんでした。そうして迎えた卒業式の日に、今のご主人との出会いがあったそうです。
 その後結婚して来日し、アルバイトをしたり、子育てを経験したりしながら、日本で生活することになります。ヤンジンさんは日本での先進技術や機械化された便利な生活、自然の恵みや食べ物の美味しさに驚く一方で、日本がこのような豊かな社会になった過去を辿れば、戦時中から終戦直後のつらい体験があったという事実も知り、「現状を『大変だ』とばかり言っていても何も変わらず、人生も社会も一歩一歩のあゆみで変わっていく」ということを実感します。そうして、ご自身のふるさとのチベットに学校を建設したいという決意を固め、アルバイトで貯めた資金をもとに、実行に移していかれたのです。
「幸せは、相手から与えられるものではなく、努力して自分の手で掴むもの」
「自立した女性は、心の余裕もできるし、主張も周りに認められる」
と、ヤンジンさんはおっしゃいました。ヤンジンさんご自身も、学校の建設に着手した当初は、周囲の人々からは「女に何ができる」と笑われたそうです。けれども、事業を続けていくにつれて周囲からも認められ、たくさんの協力を得ながら、建設した学校の数も増えていきました。
 学生時代に遭ったいじめをはじめとした、人生の苦境についても、次のように語られました。
「つまづいたり、辛かったりしたら、一日は思いきり泣いて、休んでもいい。でもまた次の日、頑張って行動していこう」
 そして、自国とは異なる文化の受け入れ方についても、
「いわゆる『異文化』として排除するのではなく、より自分の国を知るきっかけとして積極的に捉えてほしい」
とおっしゃっていました。

 ヤンジンさんのユーモアも交えたお話は、さまざまな切り口から生徒の心を捉えましたが、なかでも「必死で勉強した」という経験談は、受験を意識した高校生、定期試験を控えた中学生、それぞれにとって、「勉強する」ということの意味を改めて問い直す機会となったと思います。ともすれば飽食し、「恵み」に対して麻痺してしまいがちな私たちは、「勉強」に対しても「強いられている」「やらされている」という感覚を抱きがちです。しかし、今回のお話と、演題の「輝いて生きる―夢は実現するためにある―」をともに捉え直したとき、それぞれの日々の学習に対する姿勢も、きっと変わってくるでしょう。

 お話の最後に、ヤンジンさんは、チベットの民謡を披露して下さいました。伸びやかで優しい歌声は、人生の苦難も幸せもすべて受けとめてきたからこそ表現できるしなやかさがあり、生徒たちを魅了しました。
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講演の様子。

チベット民謡を披露するヤンジンさん。


◆高2生徒からの質疑応答より◆
Q1 「自分の努力だけではどうにもならない」と感じることはなかったか?
A1 新しい世界に興味を持つこと、自分の一番好きなものを見つけて打ち込むこと、そうすることで小さいことから少しずつ打開していった。友人を持ち、話し合いながら物事を進めることも大切。

Q2 日本人とチベット人との共通点はどんなところにあると思うか?
A2 親を尊敬し、家族を大切にするところ。また、真面目で一生懸命なところ。私たちチベット人も、標高4000m以上の厳しい自然の中で生きるのは命がけだが、日本も、戦時中から戦後のつらい時代を命がけで生き抜いて一生懸命復興や技術の発展に努めてきたからこそ、今の素晴らしい日本があると思っている。

Q3 最終的な目標は?
A3 チベット人が差別や格差などで社会的に、文化的に追いやられていかないためにも、「教育」を基本とした社会をつくりたい。どんな山奥でも、一人ひとりが自立して勉強できることを実現したい。「夢」は単なる理想ではなく「生きる手段」として、それぞれが自分のかたちで叶えられるように。

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